市議団ニュース
2018年12月01日(土)  [市議団ニュース]

東大阪市議会 平成30年 第3回定例会(平成29年度決算審査 本会議「討論」)

11/30(金)
日本共産党東大阪市会議員団
代表しての 塩田清人 団長の平成29年度 決算審査 本会議「討論」

平成29年度決算について日本共産党東大阪市会議員団の討論を行います。

まず認定第1号 平成29年度 東大阪市一般会計決算認定の件は、不認定。他の案件は認定または賛成とするものです。以下その理由を述べます。

我が党は決算審査あたり、予算や行政執行が法や条例、規則等に基づいて行われているか。不公平・不公正な執行や非効率な行財政運営が行われていないか。また地方自治法にもとづいて市民福祉の増進を図り、市民の暮らしと中小企業を応援する行財政運営が行われてきたのか等の視点で29年度の行財政運営と執行について決算審査を行いました。

第1に、財政運営上の問題についてですが、29年度の普通会計は、実質収支が20億458万円、単年度収支は4億1338万円で両方とも黒字となっています。しかし財政分析上の財政力指数は望ましいとされている「1」には届かず、前年度をわずか0.01上回る0.76。経常収支比率は、95.0%、中核市の平均値92.3%と比較しても依然高い数字で、財政構造上は硬直した状況にあります。
そのもとで、地方自治法に示された基礎自治体の根幹である市民福祉の向上と暮らしを守るという点を最優先した行財政運営と執行を図らなければなりませんが、これまでと同様に、花園ラグビー場の整備改修や公共施設整備など大型事業に予算を重点的に配分し優先させていること。その一方で、29年度の予算編成や執行においても、学校施設の改善・改修や障害福祉などの教育、福祉部門や災害対策など少なくない部局で予算縮減と事業の執行上において市民ニーズに応えられない状況が生まれていることが審査で確認できました。
また以前からわが党が指摘している契約事務のあり方においては、監査委員からも指摘されていますが、契約事務において、合い見積もりが不十分だったり、理由書の添付がない、また調度課との合議(あいぎ)ができていない等が、少なくない部署で見られました。このようなことが続けば、公平・公正性が損なわれ、市民の税金の余分な支出も生みだすこととなり、財政運営上も強く戒めなければなりません。
この間、わが党が指摘してきた「契約事務の適正化のためのチェックリスト」が、ようやくできましたが、今後、各部局において より適正な契約事務の執行を強く求めるものであります。

第2に、29年度も職員計画等による人事政策のもとで職員削減と非正規化がすすめられ、人件費を約8億4500万円余り削減したとしていますが、一方で様々な行政分野の業務執行上で支障が出ていることが明らかになりました。
例えば、教育センターでは発達相談はじめ発達検査等の待ち時間の改善はされているものの、一部ではなお即時対応ができていないこと。公立保育所の保育士不足で一時預かり事業が実施できない、又は支障をきたしている状況があること。家庭児童相談室の正規相談員が少なく、児童虐待との関わりで子どもの安全確認にも大変さがある。
また生活保護のケースワーカーの不足。また土木工営所も技術職が少ない。災害対策等を担う危機管理室の職員体制はもっと強化しないといけないとか、DV対策の相談員もわずか2人で、業務上支障が出ている。等々が明らかになりました。
まさに市民の福祉、教育、子育て支援にかかる相談や市民生活を守る現場で職員不足があり、業務に支障をきたしたり、市民ニーズに応えられない状況が生まれていることは重大であり、早急にその改善が求められます。

第3に、学校施設の改善・改修が29年度も教育予算が少なく、十分すすめられなかったことも明らかになりました。29年度をふりかえった定期監査でも、消防局の立入検査で改善を指摘された箇所が改善されていないとか、同じく包括外部監査でも施設のストック情報や、フロー情報が、一元的に整理できていないと指摘されています。特に、防火シャッター、防火扉が一部機能していない。一部の教室や体育館の床板のツギハギや剥離(はくり)、コンクリート劣化による部分崩落等々、安全上の問題や危険ヵ所は早急に改善しなければなりません。
このことを放置してきたことから残念ながら先日、北の宮小学校で児童が大けがをするという事故が起きています。ケガをされた児童とご家族に心よりお見舞い申し上げます。まさに教育予算の少なさと教育行政の姿勢が問われています。このような事故を二度と起こさないためにも、法令等に基づいて、児童・生徒の安全と危険防止に関わること、教育内容に支障をきたす状況については、早急に改善をして頂き、行政としての責任をしっかり果たしていただくことを強く求めます。
加えて、障害福祉分野でのグループホームの運営安定化補助や重度障害者の医療的ケア補助の削減、ひきこもり等の子ども・若者支援事業の予算削減の一方、その必要性や対費用効果上も問題指摘をしてきた旧同和関連事業については十分な見直しが依然されておらず、その改善を求めるものであります。
市営住宅の管理・運営においては荒本、長瀬地域に集中していること、空家合計は928戸あること。また市民の住宅ニーズはありながら枚岡地域には公営住宅が圧倒的に少ないというアンバランスがあることも審査で明らかになりました。このような点についても決算審査での指摘をふまえ、今後の計画上の検討を図ることを強く求めます。

第4に、29年度も数回の集中豪雨や台風被害等を通じて、災害対策上の課題として職員体制や予算配分等についても改善すべき課題が残されています。
時間雨量100㍉を超える局所的な集中豪雨や、がけ崩れ、浸水被害など大型台風による被害がおきました。事前に避難勧告や避難指示が発令されましたが、懸命な職員の業務遂行がある一方、特に危機管理室職員の少なさは「中核市で一番少ない人数で仕事ができる」と自慢できる状態ではありません。土木工営所もこの間の退職等により技術職員が少ない。またこれほど災害対策を万全にすすめることが求められていますが、現在は単独予算としてすすめている地域ハザードマップも市民への配布も依然できていない。市民に危険ヵ所の周知を行い、備えをしっかりつくって頂くための対策と安全確保のための予算措置を図ること、また職員体制の増員・強化が必要であることも決算審査を通して明らかになりました。

以上のことから、「認定第1号 平成29年度 東大阪市一般会計決算認定の件」は、不認定とするものであります。

わが党は、市民の暮らしと健康・安全、中小企業の営業を守る基礎自治体本来の役割と責務をしっかりと果たす行財政運営を強く求めるとともに、今後もその立場から行政のチェックと意見を述べることを表明して討論を終わります。