市議団ニュース
2016年12月26日(月)  [市議団ニュース]

12月6日 平成28年第4回定例会
日本共産党 市田議員の「本会議 個人質問」

12月6日(火)日本共産党東大阪市会議員団 市田市議がおこなった「本会議 個人質問」の概要です。

1、学童保育への企業参入と補助金事業問題
本市の学童保育事業は、2015年度より地域運営委員会、民間企業2社の3つで運営され、各クラブには市から、「東大阪市留守家庭児童育成事業補助金交付要綱」にそって補助金が交付されている。この補助金要綱に関わって、運営委員会は残金を市に返金しているが、企業は返金せず利益としていることが、明らかとなり、2015年度の決算を審査する決算委員会で、わが党がこの問題についてさらに追及したところ、企業は口頭で要綱通り返金しなくてよいとしていたことが明らかになった。2016年度からは、返金する等、改善に向けて検討する意向が、当局から示された。企業が利益を追求するのは当然で、利潤追求になじまない学童保育事業に、企業参入させたこと自体が問題。同時に補助金事業あり方そのものも検討し見直すべき。わが党は、子どもたちの健全な成長を育み安心安全な学童保育を保障するために、市が直営で実施すべきとの立場だが、まず現状の改善が急務だと考える。
本市では、クラブによって職員のシフトを組んだ時点で、配置基準を満たしていない状況が発生している日があると仄聞している。補助金要綱の実績報告内容を変更し、日々の職員配置が適切に行われているかが把握できるようにすること、障がい児加算を職員配置するために使うことを明記し、環境整備に必要な費用は別途の項目を設け使途を明確にすることを求めた補助金要綱に変更すべき。
また、本市の学童保育では、障がい児加配がきちんとされておらず、専門的知識を有する支援員の配置もされていない。これでは国が規定する指針に当てはまらず、国の補助金も得られない。専門的知識を有する支援員を配置して、厚労省の放課後児童育成クラブ運営指針にある「障害のある子どもへの対応」に沿った運営を行い、国庫補助を受けるなどして、障がい児の人数に応じた支援員の加配をするべき。
【社会教育部長】●平成30年度には新たな事業者選定をおこなうので、精査の方法を検討し、補助金要綱も見直しを考えている。●障がい児にかかる専門的知識を有する支援員の配置は、現在、東大阪市療育センターのコーディネーターに各クラブを訪問して、クラブでの具体的な事例に沿って障がい児への理解、対応など巡回派遣による研修をおこなっている。今後は、国の障がい児受入推進事業の補助金制度の活用も視野に入れ、支援員の質の向上、専門的知識の習得のために必要な研修の実施に向け、検討する。

2、受験競争を激化させる「チャレンジテスト」
大阪府教育庁は、2014年度より中学校1・2年生を対象に大阪府独自の「学力テスト」を開始。来年春の高校入試にこのチャレンジテストを使うとしているが、中学3年生の成績は、年間通じて定期試験や授業態度、提出物等から教師が総合的に評価し5段階の絶対評価をする。しかし、この評定の学校平均が6月のチャレンジテストの結果によって府教育庁が示した学校ごとの「評定の範囲」にあるかどうかを学校は確認し、外れていたら生徒の評価を変更せざるを得ない。チャレンジテストが高得点だった学校は、生徒に高い評価をつけられる割合が大きくなり、低い結果だった学校は、低い評価の生徒の割合を増やすことになる。
また、2018年の高校入試から中学 1年からのチャレンジテストの結果が入試の評価材料にされ、受験競争が小学校卒業後すぐにやってくる懸念がある。
行政の全国テストをめぐって、1976年の旭川学力テストの最高裁判決「成績評価のためにされるのではない行政調査に限り合法」とされた。また、全国学力テストの結果を大阪府が公立高校の入学者選抜における調査書の評定に用いるルールを決めた際、文科省の全国的な学力調査に関する専門家会議は「全国学力・学習状況調査の結果を用いることは調査の趣旨を逸脱するもので認めるべきではない」とした。日本の教育ついて、国連・子どもの権利委員会から過度な競争教育をやめるよう、勧告が3回にわたって出されている。
①文科省は、学習評価の基本的な考え方に、教育基本法の教育目的を示し、学習指導要領に定める基礎目標・集団に準拠した評価、子ども達一人一人の良い点や可能性、進歩の状況についての評価等、子どもを多面的に評価すべきであるとしている。チャレンジテストの結果で、高校受験に必要な調査書評定が決められる仕組みは、文科省の示すことと矛盾する。
➁中学3年生は、チャレンジテストの結果で学校全体の評定平均が決まり、通う学校によって内申点に差がつき、高校入試の内申点に大きく影響が出ると思われる。そうなれば、内申点の良い学校のある地域に転居や住民登録を変更して内申点のいい学校を選択するようになるなど、地域コミュニティの破壊につながる。
③チャレンジテストは行政調査で、この調査に参加するかは市町村が独自で決めることができるはず。チャレンジテストに参加すべきでない。
【学校教育部長】①個々の生徒への多面的な評価活動を妨げない。②その資料のみで、各学校の日々の教育活動を評価すべきものではなく、地域コミュニティに影響しない。③調査目的等を鑑み、参加は適当であると判断した。

3、「子どもの貧困」対策 ― 子どもの権利の保障
2014年1月子どもの貧困対策推進法が成立し、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖する事のないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」という、子どもの権利からの視点がもりこまれた優れた理念が提起されている。
日本共産党東大阪市会議員団は11月27日、山野良一名寄市立大学教授を招いて、「子どもの貧困」を考える学習会を開催した。山野先生より、日本弁護士連合会の法務研究財団が、各自治体で子どもの貧困対策を推進するにあたり条例を制定することを提唱し、制定されるべきモデル条例案を策定していると報告された。この条例案の究極の目的は「子どもの権利の保障」であるとされ、市町村行政の重要性等が示されている。
わが党は「子どもの貧困」実態調査をすることや横断的に対応する部署をつくることを求めてきた。ようやく、統括部署を持つことや実態調査に取り組むことについて、前向きな答弁がされた。山野先生は、実態調査が実効的である理由は、議会や市民から子どもの貧困対策の必要性についての理解を得ることができ、必要な施策の発見や具体的な施策の改善につながり、国・県などに要望するエビデンスになると言っている。このことからも、早急に実施することが必要。考えや具体的な計画についてお示し下さい。
また、市内各地で子ども食堂や学習支援のための無料塾の活動が展開されている。こうした取り組みは、子どもの居場所作りを担う大切な活動。子ども食堂や無料塾をはじめ、地域の子どもをサポートする居場所づくりの活動を支援する補助金が必要。考えをお示し下さい。
【子どもすこやか部長】子どもの貧困対策については、子どもすこやか部が事務局となり、立花副市長をトップとして庁内組織を立ち上げる。具体的な事業を検討する前に、「子どもの生活に関する実態調査」を実施する必要がある。来年度には実態調査を予定しており、その結果を踏まえて、効果的な対策を検討する。また、地域の子どもをサポートする居場所作りの活動に対する補助金事業も、併せて検討する。


4、「就学援助制度」の支給時期を3月に変更を
就学援助制度は、経済的困難な児童生徒の保護者に対して援助を行うことで、児童生徒に教育の機会を保障することを目的としている。現在、非正規雇用が増え、ダブル・トリプルワークして生活を維持している家庭も少なくない。就学援助の認定基準を引き上げ、お金の心配なく教育を受ける権利を保障すること。
また、就学援助の入学準備金が現在7月に支給されている。入学のための準備に必要な費用は3月に必要。これまで、準備金は、3月に支給するよう求めてきた。これまでの議論で、担当部局・市長から前向きな検討の答弁があった。来年度から支給時期を3月に変更することを求める。
【学校教育部長】●就学援助の認定基準の引き上げは、予算措置を伴うので、これが可能か、検討する。●早期実施に向けて、鋭意努力する。