活動報告
2016年06月02日(木)  [活動報告]

日本共産党東大阪市会議員団主催の小中一貫教育学習交流会45名で開催

東大阪では、市長が3月議会において、小中一貫教育推進を表明し、今年度、池島中、縄手南の2つの中学校区に研究委託されようとしています。
この小中一貫教育の狙いは何か?子どもたちや学校、地域にどんな影響があるのかについて、山口隆さん(大阪教育センター事務局次長、元東大阪市立小学校教諭)に講演してもらいました。

 

「中1ギャップ」解消を理由に小中一貫教育導入は時代遅れ
山口氏は冒頭、市教委が学校間移行期の不安定な時期の子どもが抱える「いじめ・暴力・不登校」などの生徒指導上の問題対応、いわゆる「中1ギャップ」の解消が重要とし、小中一貫教育を推進しようとしていることに対し、文部科学省・国立教育政策研究所が「中1ギャップ」を否定している事実を示し、提案根拠がないことを示しました。
小中一貫の本質は、新自由主義「構造改革」路線
また山口氏は「小中一貫校」を国が最初に提案した2005年の中教審答申に触れ、そこに教育現場を苦しめている次のようなメニューが出ていることを示しました。(①国による義務教育到達目標の明確化により、教育内容を管理統制する全国一斉学力テストの実施教員免許更新制の導入④新たな職としての「主幹」制度の導入⑤「教員評価・学校評価」押しつけ)そして、「新しい時代の義務教育を創造する」とし、教育において、子どもの学習権を平等に保障するためのナショナルミニマムをとりはずし、競争主義をむき出しの形で持ち込もうとしていると指摘。東京の例で、「学校選択の自由」を組み合わせ、政策的に子どもの集まる学校と、集まらない学校をつくり、学校統 廃合に利用し、エリート養成の一層の競争強化と学校つぶしが進められていることを報告しました。
「小中一貫校」が引き起こす問題
6年生で卒業式がなく、気持ちの面でも区切りがつかないなどの影響があり、施設一体型の一貫校とそうでない学校の比較をすると、一貫校の小学生は、自分に自信が持てないと答えた子の割合が高い自己価値が低い友人関係にあまり恵まれていないと感じている子が多い疲労感の強い子どもが多いという調査研究結果も紹介しました。

東大阪での小中一貫教育のねらいを探る
山口氏は、今のところは大規模統廃合と一体での小中一貫校導入は考えにくいとし、「学びのスタンダート」の確立・実践をしようとしていることは、池島と縄手南中学校区を先行し、小中一貫を口実としたカリキュラムづくりを行い、それを全中有学校区に広げ、画一的教育で縛ることに本質があるのではないかと疑問を投げかけました。教育は「はじめに子どもありき」が出発点であり、画一化するものでないこと。各地で行われている「○○スタンダード」では、教育の方法では 教室の掲示物や板書の書き方まで画一化している問題も指摘しました。また子どもの失敗を許さない学校にされる危険性や教職員の負担が増加し、日常の教育活 動に重大な支障を来すなどのおそれを指摘しました。
さいごに、子どもが参加し、父母と教職員が力を合わせて、子どもの成長・発達を助ける学校づくりを求め、保護者・住民の意見を聞かないで勝手に決めないということを大切に、市民的な討論をすすめることが大切と強調し、講演をました。

意見交流活発に

講演後、施設一体型の小中一貫校で、先行実施されている市で働く教員から、小学生中学生がお互いにいい影響をあたえる状況にはないとの生々しい実態報告があり、一様に驚きの声があがっていました。また小中一貫教育が推進されてしまうと学校はどうなるのか?などの不安が、保護者、教員など市民から出されました。

感想文から
「何の知識も無く、参加しましたが、義務教育でこんな事が起こっている事にショックで呆然としてます。国は、有能なエリートと黙って言いなりになる奴隷とを作り出そうとしているのだと、思いました。そして、ますます物を考えない国民を作り出そうとしてるのだと・・・そこには、人権の思想が全くありませんね。どうして、そんな目に合わんとあかんのか、嫌になりました。もう考えるのはやめて、楽しい事だけやって生きたいですが、そんな事したら悪徳政治家の思うツボなので、色々学ばなあかんと自分に言い聞かせております」(40代女性)

「小中一貫教育の問題が漠然としていましたが、単によく言われている『中1ギャップ』の解消だけでなく、子どもの発達の面から、カリキュラムの面から、また教職員や地域の面から多角的な視点で考えなければいけない問題だということが山口先生の話でよくわかりました。池田市の方の話では、現場や子どもたちの姿から一貫教育の問題がリアルによくわかりました。(60代)

「山口さんの話を聞いて東大阪市一貫教育推進事業のねらいがだいたいわかってきました。まさしく『小中一貫カリキュラム』なるものを一部の中学校でつくらせて、それを全校に広げるというのが、この『小中一貫教育』のねらいだと思います。教育内容や教育方法まで画一化しようというのは、単に教育委員会のもくろみだけでなく、現場の教員の中にも何でも同じようにしていったら良いという考えを持っている人もいるので、ここのところをよく検討していくことが大切だと思いました。また一貫教育の名のもとに、会議が増えて長時間労働が促進される危険があります。(学校関係者)